週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

質問力(なぜ学ぶのか、何を学ぶのか 9 )

ひさしぶりのこのシリーズ
ちょっと他のシリーズに忙しくてサボっておりました。
大学生のうちに身につけて置きたい力。
今回は質問する力。
社会に出るとかなり役に立つ。
結構大事だけど大学生だとおろそかにされがち。

僕はゼミ系の授業だと質問せい!とよく言う。
ところが、日本という文化なのかなんなのか、質問がでない。
これはゼミ形式の授業に限らず、講義形式であっても大事だと思っている。
それとなく促すのだが、まあ、質問はでない。
ただ、これはぜひ早いうちに改めたい。
質問、色々な意味で大事なのだ。
聞くは一時の恥、という単純な話ではない。

質問するとどんないいことがあるか。
わからないことがその場で解決する。
これは聞くは一時の恥系の利点。
それ以外には何があるか。

一番大きいのは、質問しようという姿勢で話を聞くことで、話の理解度が飛躍的に高まること。
質問をするには、当然ながら話を理解する必要がある。
聞きっぱなしの場合は理解できなくてもまあいいやとなりがち。
しかし、質問をしなければならない場合、それでは困る。
それなりに相手の言っていることを理解して、なんらかの疑問点を絞り出す必要が出てくる。
ぼーっと聞いているだけでは質問は出てこない。
質問をするためには、まず前提として聞く力が必要になるわけだ。
質問をしようという姿勢で聞くと、この聞く力が鍛えられる。
最初は大した質問が出てこなくてもかまわない。
まずは「質問をする」ということを自らに課して話を聞いてみよう。

質問をするにはどんな力が必要か。
まずは聞く力、理解する力。
相手の話を聞き、自分なりに要点や骨子を整理し、深く理解する。
ロジカル・批判的な思考力も必要。
理解した上で、話の矛盾点や弱いところを把握する。
聞いた話から湧き上がる「なぜ?」もこの力によるか。
その上で必要なのが、自分の内にある疑問を言語化する能力。
質問をしてみるとわかるが、自分の疑問を端的な言葉にして相手に伝えるのは結構難しい。
これらを限られた時間の中でやるわけだ。
ものすごく頭を使うし、その分だけこれらの能力が磨かれる。
あ、あと、質問するには質問度胸みたいな力もいるね。

ところで。
質問には当然レベルがある。
初歩的なものとしては、基本的な知識を教えてもらう質問や聞き漏らしたところを教えてもらう質問などがある。
質問に慣れてくると、相手の話から浮かんでくる「なぜ?」を聞く、というような質問をする。
さらにレベルが上がってきたら、話の矛盾点やロジックがおかしな点など、話の骨子に関わる重要な点を指摘するような質問をする。
このレベルの質問ができるようになれば、大学生としては大したもの。

では、どのようにこの力を身につけるか。
まずは、ゼミ形式の授業を活用しよう。
その場ではなんでもいいから質問をすることを自らに課す。
そして、どんなにくだらない質問でもいいから、必ず一回質問するようにする。
最初からレベルの高い質問はできない。
初歩的な質問からスタートし、質問度胸をつけていく。
恥をかいたり失敗したりと数をこなすうちに、聞く力と質問力がついていく。
他の人がした質問なんかを参考にしてみるのもよいか。
すると最終的にはレベルの高い質問ができるようになる。
慣れてきたら、これを講義形式の授業でも導入してみよう。
卒論・修論発表会や学会発表なんかで腕試ししてみるのもよい。
このように、意識的に心がけることで質問力はどんどん身につく。

ちなみに、質問に対して答える力ってのも大切。
こいつは質問力の兄貴分みたいなもの。
相手から質問されたことを正しく理解し、的確な答えを返す。
社会に出るとかなり役に立つ力。
質問力が上がると、コイツもそれなりに伸びると思う。

ぜひぜひ、実践してほしい。
では、また。




にゃ。


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2019/03/16 15:27
休暇中。
蒲田のタリーズにて。


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Update 2019/03/16
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本の紹介,「おさなごころを科学する: 進化する幼児観(森口 佑介,新曜社)」

おさなごころを科学する: 進化する幼児観
森口 佑介(著)
難易度:☆☆☆☆


乳幼児期の心理発達について、さまざまな角度から解説した本。
無能とされていた古い乳幼児観から、意外と有能だと考え直された新しい乳幼児観、大人との質的な違い、脳研究の知見など、幅広く扱う。
特に乳児に関する知見が厚い。
章立てはおおむね歴史順になっており、どのように乳幼児観が語られ、変わってきたか、整理しながら理解することができる。
きっちりと根拠となる研究を厳選して紹介しながら展開しており、非常に面白い。
研究研究した専門書は難解で読みづらいことが多いが、この本は平易で読みやすいのもポイント。
発達心理学を学んだばかりの学部学生さんの次の読み物としてもオススメ。
紹介されている研究が厳選されているため、隣接分野の研究者の読み物としても楽しめる。
引用もしっかりしており、研究の調査用・基礎勉強用としても使える。

ピアジェの乳幼児観の説明がとてもわかりやすいのもよかった。
教科書も含めピアジェの記述はわかりにくいものが多いが、この本の記述は例も含めてとても平易でわかりやすい。
教科書や入門の講義でピアジェがうまく飲み込めなかった人にもおススメ。
この部分だけでもこの本を読む価値は十分ある。
まずピアジェの乳幼児観をしっかりと理解する。
その上で、ピアジェの個々の知見を否定する。
そんなスタイルをとる。
否定するのであればピアジェの理解なんていらないじゃないかと思うかもしれないが、それは違う。
この分野の研究自体がピアジェからなんらかの影響を受けており、ピアジェを含めた古い乳幼児感を知っておかなければ新しい乳幼児感も理解できない。
そういう意味ではピアジェはやはり偉大。
そんなことを感じさせてくれた本でもあった。

発達を学んでいる学生さんはもちろんのこと、現職教員や福祉系の職員等、子どもと関わる全ての人にオススメな一冊。
おもしろいよ、コレ。




高松の港にて。



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Update 2019/01/16
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障害児等神経生理学研究2019(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション(4/9)【資料電子版UP済】
第2回 脳と神経の基礎(1)(4/16)
第3回 脳と神経の基礎(2)(4/23)【資料電子版UP済】
第4回 脳科学の方法(1)(5/14)【資料電子版UP済】
     ~ペンフィールドまで
第5回 脳科学の方法(1)(5/21)
     TMS~単一ニューロン記録法
    脳科学の方法(2)
     MRIまで
第6回 脳科学の方法(2)(5/28)【資料電子版UP済】
     イメージング法で機能を見る
    視覚系と解剖(1)【資料電子版UP済】
     最初~網膜の細胞・錐体細胞杆体細胞
第7回 視覚系と解剖(1)(6/4)【資料電子版UP済】
     網膜の細胞~一次視覚野
第8回 視覚系と解剖(2)(6/11)
     高次視覚野
第9回 聴覚系と解剖(1)(6/18)【資料電子版UP済】
     聴覚器の構造と電気信号の生成
第10回 聴覚系と解剖(2)(6/25)
      聴覚神経から脳への伝導,聴覚野
     平衡感覚・味覚・嗅覚系と解剖【資料電子版UP済】
      ポイントのみ
     体性感覚系と解剖(1)
      4つの圧・振動センサー
第11回 体性感覚系と解剖(2)(7/2)【資料電子版UP済】
      冷温覚のセンサー,経路,体性感覚野,痛み
第12回 運動系と解剖(1)(7/9)
      運動器~一次運動野
第13回 運動系と解剖(2)(7/16)【資料電子版UP済】
      一次運動野~高次運動野・運動イメージ
     言語系と解剖~音声言語(1)
      最初~言語野の解剖
第14回 言語系と解剖~音声言語(2)(7/23)【資料電子版UP済】
      のこり>
     言語系と解剖~文字言語(1)
      最初~2重経路まで
第15回 言語系と解剖~文字言語(2)(7/30)【資料電子版UP済】
      のこり
     高次脳機能と解剖【資料電子版UP済】

    



関連情報


自分で勉強したい人へ【準備中】
神経生理学に関する役立ち情報


連絡事項


授業の連絡事項



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Update 2019/08/28
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肢体不自由児等の教育課程と指導法2019(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション(4/10)【資料電子版UP済】
第2回 肢体不自由の概要(1)(4/17)
第3回 肢体不自由の概要(2)(4/24)【資料電子版UP済】
    肢体不自由教育の歴史(1)
     ~戦前の教育まで
第4回 肢体不自由教育の歴史(2)(5/8)
     ~戦後初期まで
第5回 肢体不自由教育の歴史(3)(5/15)【資料電子版UP済】
    特別支援教育の現状と仕組み(1)
     ~現状
第6回 特別支援教育の現状と仕組み(2)(5/22)
     対象児童生徒の特徴~今日的課題
第7回 特別支援教育の現状と仕組み(3)(5/29)【資料電子版UP済】
     今日的課題,医療的ケア
    教育課程と指導上の特徴(1)
     教育課程の特徴,国語・算数等の指導時の配慮
第8回 教育課程と指導上の特徴(2)(6/5)【資料電子版UP済】
     自立活動指導時の配慮
    肢体不自由と支援技術(1)
     OSによるキーボード,マウス操作の補助
第9回 肢体不自由と支援技術(2)(6/19)
     OSによるキー入力補助~,スイッチ
    
第10回 指導計画の基本(1)(6/26)
      最初~VOCAまで
第11回 指導計画の基本(2)(7/3)【資料電子版UP済】
      BMI~ラスト
     自立活動の指導(1)
      理念と基本まで
第12回 自立活動の指導(2)(7/10)
      内容の考え方~自立活動の指導・環境の把握
第13回 自立活動の指導(3)(7/17)【資料電子版UP済】
      のこり
第14回 脳性まひと動作法(1)(7/24)
      最初~痙直型
第15回 脳性まひと動作法(1)(7/31)【資料電子版UP済】
      アテトーゼ型~動作法




関連情報


自分で勉強したい人へ【準備中】
肢体不自由児等の指導・保健・教育に関する役立ち情報
肢体不自由に関する役立ち情報


連絡事項


授業の連絡事項



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Update 2019/08/06
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退職と起業のお知らせ

皆様にはいつもお世話になりありがとうございます。
さて、私事ですが、本日付を持ちまして大学を退職し、研究と教育の世界から引退することになりました。
在職中はひとかたならぬお世話になりました。
浅学の身ながらここまで勤め上げることができたのは、ひとえに皆様に支えられたおかげです。
深く感謝申し上げます。
ここ数年を振り返りますと、共同研究者と時間を忘れて議論をしたり、学生さんとともに学んだりした日々はとても充実しており、忘れることのできない大切な時間を過ごすことができました。

さて、今後ですが、本日付で株式会社アカデミック コラボレーション カフェ(「アカコラカフェ」と略します)という会社を設立しました。
これまでの経験を生かし、学問的な楽しさを落ち着いた雰囲気の中でコーヒーとともに味わう、というコンセプトのもと、カフェチェーン「アカコラカフェ」を展開していく所存です。
アカコラカフェでは僕が入れるハンドドリップコーヒーにこだわり、僕そっくりのアンドロイドに僕そっくりのAIを搭載することで、極上なコーヒーとテキトーな会話を楽しむことができます。
まずは7月をめどに銀座に1号店を開業する予定です。
来年より全国に展開し、まずは大都市を中心に順次開業してまいります。
思い入れのあります鳥取県につきましては、20年後くらいに47都道府県目の店舗として展開予定です。
20年後の知事には、「カフェのアカコラはありませんが、コナンのアオヤマは・・・」的なフレーズでですね、、、。

最後になりましたが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
まずは、略儀ならがブログをもちましてお知らせ申し上げます。
株式会社 アカデミック コラボレーション カフェ CEO 谷中久和




追伸:
この記事があげられた本日は4/1です。
まあもちろん、ウソでございます。
もう少し、大学でがんばっていく所存です。
リアルタイムで見ずに信じちゃった人、ごめんなさい。

定期更新日である月曜日に次に4/1がやってくるのは2024年らしいですが、次こういうネタをやる気は今の所ないです、ヨ。


追伸の追伸:
なお、この記事がアップされたのは2019年4月1日でございます。
のちに来られた方のため、念のため。




丸善カフェにて。


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2019/03/16 20:17
休暇中。
定番丸善カフェにて。


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Update 2021/04/01
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肢体不自由児等の生理・病理・心理2019(鳥取大学)

授業内容


第1回  オリエンテーション(4/10)【資料電子版UP済】
     肢体不自由の概要(1)
第2回  肢体不自由の概要(2)(4/17)
第3回  肢体不自由の概要(3)(4/24)【資料電子版UP済】
     身体の構造と機能(概要),呼吸器まで
第4回  身体の構造と機能(概要)(2)(5/8)
      ~消化器,泌尿器まで
第5回  身体の構造と機能(概要)(3)(5/15)【資料電子版UP済】
     神経系の構造と機能(1)
      ~ニューロン
第6回  神経系の構造と機能(2)(5/22)
      グリア細胞~活動電位の生成・伝達
第7回  神経系の構造と機能(3)(5/29)
      ミエリン鞘~末梢神経
第8回  神経系の構造と機能(4)(6/5)
      中枢神経~大脳・ブロードマンの脳地図
第9回  神経系の構造と機能(5)(6/19)【資料電子版UP済】
      大脳の構造
     感覚器の機能と構造(1)
      最初~視聴覚とその機能
第10回 感覚器の機能と構造(2)(7/3)【資料電子版UP済】
      体性感覚
     大脳の機能(1)
      知覚系
第11回 大脳の機能(2)(7/10)
      運動系,言語(話しことば)
第12回 大脳の機能(3)(7/17)【資料電子版UP済】
      言語(書きことば),高次脳機能
     骨と筋肉の構造と機能(1)
      骨,関節の補助組織
第13回 骨と筋肉の構造と機能(2)(7/24)【資料電子版UP済】
      関節の構造,筋肉
第14回 試験(8/7,予定)
     


関連情報


自分で勉強したい人へ【準備中】
肢体不自由児等の生理・病理・心理に関する役立ち情報
肢体不自由に関する役立ち情報


連絡事項


授業の連絡事項



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Update 2019/08/06
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特別支援教育(初等)2019(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション(4/15)【資料電子版UP済】<
第2回 特別支援教育の概要(1)(5/7)
     ~特別支援教育の目的まで
第3回 特別支援教育の概要(2)(5/13)<
     ~自立活動,特別支援教育の方法,免許制度まで
第4回 特別支援教育の概要(3)(5/20)
     ~仕組み~
第5回 特別支援教育の概要(4)(5/27)
     現状から~歴史(養護学校義務制棚上げ)
第6回 特別支援教育の概要(5)(6/3)
     歴史~理念
第7回 特別支援教育の概要(6)(6/10)
     ICIDHモデル
第8回 特別支援教育の概要(7)(6/17)【資料電子版UP済】
     ICFモデル,二次障害
    子どもの身体のの発達
     考え方,出生前,新生児期
第9回 子どもの身体のの発達(2)(6/24)【資料電子版UP済】
     乳幼児期
第10回 子どものこころの発達(1)(7/1)
      理論,胎児期,乳児期
第11回 子どものこころの発達(2)(7/8)【資料電子版UP済】
      幼児期,児童期
第12回 障害の理解と支援(1)(7/19)
第13回 障害の理解と支援(2)(7/22)
第14回 障害の理解と支援(3)(7/26)【資料電子版UP済】
第15回 最終回(8/5)




関連情報


自分で勉強したい人へ【準備中】
授業に関する役立ち情報
特別支援教育全般に関する役立ち情報


連絡事項


授業の連絡事項



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Update 2019/08/04
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